令和8年 特実12

 特許権に関する事例について。なお、下記の事例やこの肢に示されていない事実をあえて仮定する必要はない。

【事例】
 甲は、物に関する発明について特許を受けた(以下、この発明を「本件特許発明」といい、その特許を「本件特許」といい、本件特許に係る特許権を「本件特許権」という。)。甲は、乙の販売する製品Aが、本件特許発明の技術的範囲に属すると考え、乙に対して特許権侵害訴訟を提起した。一方、乙は、製品Aの販売が本件特許権の侵害に該当しないことを、特許権侵害訴訟において反論した。

問題(選択肢 ロ)

 甲は、丙に対し、製品Aを外国において販売した。その際に、甲と丙との間においては、製品Aについて販売地から日本国を除外する旨の合意はなかった。さらに、乙は、丙から製品Aを外国において購入し、日本国に輸入して販売を行っていた。乙は上記事情による反論をした。この場合において、甲による本件特許権の行使は認められないものと判断される。

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解答結果

あなたの解答:× 正解:○

解説

 最高裁判例H9.7.1「BBS並行輸入事件」に関する問題である。

 文言上は特許権の侵害に該当する実施であっても、輸入を含めた自由な製品の流通は最大限保証されるべきである。よって、特許権者が海外における特許製品の譲渡にあたり、以下の留保をあらかじめ付していない限り、国外で特許権者から正当に譲渡を受けた者に対する特許権の行使は認められないとした。
 そのうえで「我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合においては、特許権者は、①譲受人に対しては、当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合を除き、②譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては、譲受人との間で右の旨を合意した上特許製品にこれを明確に表示した場合を除いて、当該製品について我が国において特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である」と判示された。

 本肢の場合、甲と丙との間においては、製品Aについて販売地から日本国を除外する旨の合意がなかった以上、甲による本件特許権の行使は認められないものと判断される。
 本肢は正しい。

補足

 BBS事件は、日本でも特許を取得しているドイツ企業のBBS社が、ドイツで合法的に譲渡等されたうえで日本に輸入された部品について、わが国でもさらに特許権を行使しようとして争った事件である。
 ここで原告のBBS社は、「パリ4条の2によれば、特許は各国で独立してるんだから、ドイツ国内で適法に譲渡したものだったとしても、日本であれば話は別ってことで、特許権侵害になり得るよね? 権利行使しても……いいよね?」という、かなり強欲な主張を展開した。
 それに対するアンサーが、上述の解説に掲載した、本事件の判旨である(※日本での権利行使は制限された)。

カテゴリ

特許 - 判例・裁判例

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