甲は、腕時計に係る意匠イの意匠権を有しており、意匠イに係る腕時計(以下「甲物品」という。)を製造販売している。乙は、意匠イに類似した意匠ロに係る腕時計(以下「乙物品」という。)を製造販売している。甲が、乙に対し、意匠イに係る意匠権侵害を理由として、物品の製造販売についての差止め及び損害賠償を求める訴え(以下「本件訴訟」という。)を提起する場合の説明として、以下の内容は正しいか。
ただし、意匠イは秘密意匠に係るものではないものとする。
甲が第三者である丙と意匠イの意匠権を共有している場合、甲は、単独で乙物品の製造販売についての差止めを求める訴えを提起することができる。
この説明は?
あなたの解答:× 正解:○
意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(意37条1項)。
ここで、共有にかかる意匠権に基づく差止請求権は、各持分者の持ち分に応じて認められるものと解されている。ちなみに、この考え方は特実意商いずれにおいても同様である。
本肢は正しい。
差止請求権はいま行われている侵害を食い止めるための緊急手段なので、行使にあたっていちいち共有者間の合意を必要としていては、その目的を達成できない。よって、差止請求権の行使は保存行為(民252条5項)と考えられている。
ちなみに、「保存行為」とは、財産や権利の価値を維持し、現状を保つための行為をいう。他の共有者等の同意を必要とせず、誰でも単独で行えるのが最大の特徴である。
意匠 - 意匠権侵害