甲は、机の意匠イの意匠権者である。乙は、意匠イに係る机に書架を結合した学習机の意匠ロの意匠権者である。意匠ロは意匠イより後に出願されたものである。
この場合において、 以下の内容は正しいか。
意匠イと意匠ロに需要者に起こさせる美感の共通性がない場合、乙が、意匠ロに係る学習机を製造、譲渡する行為は、甲がその権利を専有する意匠イ及びこれに類似する意匠の実施には該当しない。
この説明は?
あなたの解答:× 正解:○
大阪地裁・昭和46年12月22日『学習机事件』の判旨をモチーフとした問題。
判旨によれば、
意匠の利用とは、①ある意匠がその構成要素中に他の登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を、②その特徴を破壊することなく、③他の構成要素と区別しうる態様において包含し、④この部分と他の構成要素の結合により全体としては他の登録意匠とは非類似の一個の意匠をなしているが、この意匠を実施すると必然的に他の登録意匠を実施する、関係にある場合をいうものとするのが相当である。
上記を読むと、「だったら、意匠イに書架を付けただけの意匠ロに係る学習机を製造、譲渡する行為は、たとえイ、ロ両意匠が全体として類似していなくとも、意匠ロが意匠イを包含していれば、甲の意匠イに係る意匠権の利用侵害になるんじゃね?」と思うだろう。
そうなのである。
しかし、大元の問題文において「ただし、各設問で言及した条件のみに基づいて判断し、 他の条件は考慮しないものとする」との一文がある。
この題意に基づくと、学習机事件で判示された具体的な要件を考慮する必要はなく、単に両者が美観を異にしている以上、意匠ロの実施は(全体として類似しない)意匠イの実施にはあたらない……と考えるのが妥当といえる。(そう思わなければ、本肢を○にはできない)
いずれにせよ、特許庁発表によれば、本肢は正しい。
「意匠イが学習机、意匠ロはそれに書架を足したもの」という本肢の設定自体が学習机事件そのままということもあり、どうしてもその判旨に引っ張られてしまう……
まだセカンドオピニオン等がないため、今のところは特許庁の発表に沿っておく。
意匠 - 意匠権侵害