弁理士試験短答式・直前期に確認すべき頻出条文ランキングTOP30

データ研究
弁理士試験短答式・直前期に確認すべき頻出条文ランキングTOP30

はじめに

 短答式試験の直前期において重要なのは、新しい知識を増やすことよりも、既に学習した重要論点を確実に取りこぼさないことである。

 弁理士試験短答式は出題範囲こそ広いものの、実際の出題には一定の偏りが存在する。

 すなわち、毎年のように出題される条文群があり、これらは試験直前の最終確認において特に意識しておく必要がある。

 本記事では、2002年(H14)から2025年(R7)までの短答式過去問を対象として、各肢の根拠条文を集計し、

“直前期に重点的に確認しておきたい頻出条文”

 これを法域ごとにランキング形式で整理した。

 本ランキングを、短答式試験に挑む前の最終確認に役立てていただれば幸いである。

1.特実

総評

 特実分野は短答試験の中心科目であり、出題数・論点数ともに最大である。
 そのため、頻出条文も比較的はっきりしている。

 今回の集計で特に顕著であったのは、特29条の2の登場回数だ。

 登場回数は合計84回(肢)に達しており、2位以下を大きく引き離している。

 もっとも、特29条の2が頻出である理由は、単に重要制度であるからだけではない。

  ↓  ↓  ↓

  • 出願公開との関係
  • 分割出願や国内優先権主張出願との絡みで生じる、時系列の複雑さ
  • 発明の同一性
  • 出願人の同一
  • 特39条との比較の仕方の違い
  • 先願が外国語書面出願や外国語特許出願である場合
  • 題意を用いた引っ掛け(特39条は考慮せず、特29条の2のみで考えろ、など)

 短答式の問題を解いていく上で、とにかく時間がかかる上に迷いやすい論点を多く含んでいる。
 そのため、試験委員としても肢を作りやすく、結果として出題回数が多くなっていると考えられる。

 また、ランキング上位には次のような条文が並ぶ。

  • 補正(特17条の2)
  • 補正却下(特53条)
  • 審判(特162条ほか。古い問題では特151条(民訴からの準用)も多い)
  • 訂正審判(特126条)

 まあ、どれも”濃い”というか、ラーメン二郎のアブラマシマシというか、弁理士志望者を毒の沼地に引きずり込むようなテーマだが……

 これらは制度の中心部分であり、短答試験では安定的に出題されている。

特実・出題回数TOP30

順位 条文番号 登場回数
1 特29条の2 84
2 特53条1項 36
3 特162条 27
4 特17条の2第3項 25
5 特151条 23
6 特126条7項 22
6 特44条2項 22
8 特17条の2第4項 21
9 特50条 20
10 特135条 18
11 実12条1項 17
11 特100条1項 17
11 特159条1項 17
14 特17条の2第6項 16
14 特42条1項 16
16 特181条2項 15
16 特30条2項 15
16 特41条1項2号 15
16 特41条2項 15
20 特132条3項 14
20 特134条の2第9項 14
20 特155条1項 14
20 特178条2項 14
20 特17条の2第1項柱書 14
20 特49条2号 14
20 特9条 14
27 実14条の2第7項 13
27 特123条1項 13
27 特14条 13
27 特99条 13

特実のランキングから見えること

出題回数は「特29条の2」が突出

 特29条の2は、短答特実における最重要条文の一つといってよい。
 難しいし時間がかかるのだが、要件を押さえることさえできれば必ず論理的に正答できる問題でもある。
 短答本番までに必ず仕上げたい、文句無しにNo.1の最重要条文であることは間違いない。

 ちなみに、手前味噌ではあるが、特29条の2に関しては専門の解説記事も書いた。ぜひ参照してほしい。

補正・手続補正周辺が非常に強い

 特17条の2第3項、第4項、第6項がいずれも上位に入っており、補正制限は短答の定番論点であることが改めて分かる。

審判・訂正・拒絶理由通知周辺も厚い

 特151条、特162条、特126条7項、特50条、特135条など、審判・審決・訂正・拒絶理由通知関係が広く出ている。

 つまり特実は、単なる新規性・進歩性だけでなく、手続法的な理解が点差につながりやすい法域だといえる。

 ちなみに、特162条(前置審査)を含む拒絶査定不服審判周りは、短これPLUSのユーザさんならご存知だと思うが、「まーたこの論点かよ!」という感じで、本当にごく限られた論点の繰り返しとなっているので、必ず得点源に仕上げなければならない。

「あの条文」がランキングにない理由

 さて、過去に一度ぐらい弁理士試験に挑んだことがある人なら、「あの条文」、正確には「あれ系」の条文がランキングにないことに違和感を感じるかも知れない。

 「特184条のいくつ」。

 国際出願系、いわゆる184シリーズである。

 実は、国際出願系がランキングに出てこないのには理由がある。

 国際出願系の条文は年度によって特許として出題されたり、条約の一部として出題されたりと、カテゴリ分類的に散っているのである。なので、カテゴリ別の集計でランキング上位に上がりにくい。

 集計のアヤで上に出てきづらいだけなので、分野全体としての重要度はトップレベルである。特実、条約のどちらにも影響が出るので、重要でないワケがない。

特実の学習優先順位

 特実は範囲が広いため、直前期に全部を均等に回そうとすると効率が落ちてしまう。なので、ランキングを参照し、上記の論点を最重要として確認するのもよい。

 ただし、すぐ上に書いたとおり、国際出願はたとえランキングに出ていなくても最重要扱いである。

 特許・条約のいずれにおいても国際出願系の条文から出題されない……そんな年は「ない」。

2.意匠

総評

 意匠法は条文数自体は比較的少ないものの、短答では頻出論点がかなり明確だ。

 今回の集計でも、関連意匠、先願、創作非容易、秘密意匠、部分意匠、定義規定など、意匠法の“核”となる条文が上位に集まっている。

 特に、意3条の2、意10条1項、意8条、意2条1項、意9条1項あたりが、直前期に優先して確認したい条文群である。

意匠・出題回数TOP30

順位 条文番号 登場回数
1意3条の262
2意10条1項53
3意8条47
4意2条1項45
5意9条1項42
6意9条3項38
7意4条2項36
8意10条の2第1項31
8意48条1項31
10意10条の2第2項29
11意13条6項24
11意17条の2第1項24
11意3条1項3号24
11意7条24
15意23条23
16意14条1項22
16意3条の2ただし書22
16意9条2項22
19意9条の221
20意3条2項19
20意66条3項19
22意17条1号18
23意26条1項17
23意41条17
25意4条3項16
26意52条15
27意60条の2414
28意21条2項13
28意37条3項13
30意14条2項柱書12
30意29条12
30意2条2項1号12
30意36条12
30意6条4項12

意匠分野で特に注意すべき点

― 審査基準からの出題

 実をいうと、意匠の場合、条文ランキングだけで実態を完全に説明することはできない

 短答式過去問をデータ分析すると、審査基準の知識がなければ正答できない問題が合計で 118問(肢)存在する

 本肢で分析対象とした過去24年分の(意匠の)選択肢がだいたい1200肢なので、約1割が「審査基準問題」である。

 これは決して小さな数ではない。
 むしろ、短答意匠の重要な特徴の一つといえる。

 特に典型例となるのが、次のような論点である。

  ↓  ↓  ↓

  • 法上の意匠か否かの判断
  • 意3条の2の該当判断
  • 一意匠一出願の判断(上の亜種)
  • 組物の意匠の類型
  • 関連意匠の審査運用
  • 類否判断
  • 補正における要旨変更の類型

これらは条文のみから直ちに導かれるものではなく、審査基準の理解が事実上の前提となる

最新の改正条文からも積極的に出題される

 また、出題範囲が狭い分、最新の改正条文からの出題に積極的なのも意匠の特徴だ。
(この点に関しては商標も同様である)

 ……とまあ、なんか範囲がものすごく広そうにも見えるが、安心してほしい。

 意匠は特許や商標よりも条文数がずっと少なく、審査基準問題の比重も見えやすい。しかも、問い方が総じて素直なため、直前期の仕上げで最も点にしやすい法域の一つである。

 筆者ですらR2で10点満点、最終合格年度のR5で9点と、安定的に点を取れていた。

3.商標

総評

 商標法では、特定の条文が極端に突出するというよりも、制度の中心部分が比較的広く出題される傾向がある。

 ランキング上位には、主に次の条文が並ぶ。

  • 商3条(識別力)
  • 商4条(不登録事由)
  • 商2条(定義・使用)
  • 商50条・51条(取消審判)

商標・出題回数TOP30

順位 条文番号 登場回数
1商3条2項22
2商2条3項2号21
3商3条1項3号18
3商56条1項18
5商2条1項15
5商47条1項15
7商13条の2第1項14
7商16条の2第1項14
7商1条14
7商2条3項8号14
11商25条13
11商51条1項13
13商10条1項12
13商2条1項1号12
13商39条12
13商3条1項柱書12
13商4条1項8号12
18商15条1号11
18商29条11
18商2条6項11
18商43条の211
18商50条2項11
18商7条の2第1項柱書11
24商24条の2第4項10
24商32条1項10
24商36条1項10
24商46条1項6号10
24商4条1項11号10
24商54条1項10
24商64条1項10
24商7条1項10

商標分野の特徴

 ランキングから見えてくる商標法短答の特徴は、「使用」概念の重要性である。

 商2条3項各号の規定は商標の使用該当性を判断するうえで不可欠であり、過去問でも繰り返し確認されている。

 もちろん、識別力(商3条)と不登録事由(商4条)は商標制度の核心なので、短答でも安定した出題が続いている。

 ちなみにいうと、ランキングトップは商3条2項(使用による識別力の獲得)だが、これは実のところ、ほとんど「商3条1項各号」の問題であることには注意が必要である。

 「商3項1項各号のいずれかに該当する商標が、商3条2項による救済対象となるか?」……そんな文脈で用いられる商3条2項は、商3条1項各号に関する問題において、いわばセカンドポジション的な扱いで根拠条文となる機会が多いのである。

商標審査基準からも出題がある

 また、意匠法と同様、商標法についても、審査基準の知識を必要とする問題が 55問(肢)確認されている

 代表例としては、

  • 登録可否の判断時(査定時か、出願時と査定時の両方か)
  • 商3条1項各号や3条2項、4条1項各号の具体的判断
  • 補正における要旨変更の判断

 などが挙げられる。

 これらは条文のみからは判断が難しく、審査基準に基づく具体的運用を理解しているかが問われる。

 ……と、これだけで終わればいいのだが、商標には、実を言うと出題頻度のランキングには一切表れない難しさがある。

 それは何かというと……

「地獄レベル」の引っ掛け問題の多さ

 これ。

 商標には特29条の2や特41条、意3条の2といった長文で複雑な論点がないため、迷ったときも深く考えずに解き進めていくと、意外とスピーディに完答できる

 だから、試験を終えた直後には「難しかった」という実感がそんなに出ない

 しかし、試験後に受験機関の採点速報や(翌日の)正解発表があると、Xの弁理士受験生界隈が阿鼻叫喚の騒ぎに

 「合計42点! でも商標3点!!」

 こーいうのが、弁理士試験界隈における毎年の風物詩である。

 そのため、論文で三振したあと再起を狙う者にとっても厳しいのが商標だ。

 「論文の学習で、制度趣旨や深い論点をきっちり学んだから大丈夫、かな?……かな?」

 なんて思って挑むと、結果は4点とか3点とか

 嘘だッ!!!!』

 そんなコトが普通に起こる。とにかく、努力が点数に反映されにくい科目である。

 加えてひどいことに、こうした引っ掛け問題が択一式だけでなく、「いくつあるか問題」にもホイホイ出てくる

 択一式であれば、「あれ? 全部正しくね? どっか見落とした?」みたいな感じで再確認のしようもある。

 しかし、いくつあるか問題で凶悪な引っ掛け問題を出されると、消去法で怪しい箇所を見直すことすら困難だ

 というわけで商標は、条約と並んで足切りの原因になりやすい法域の筆頭なのである。

商標は、解いた過去問の「数量」がモノをいう

 おそらくだが、もともと引っ掛け問題にやられにくいタイプである「注意力が超高めな人」を除けば、対抗手段はただひとつ。

 とにかく大量の過去問にブチ当たり、「サイコパスか出題者この野郎!」と思いながら引っ掛けのパターンを知り尽くす

 「痛くなければ覚えませぬ」、あるいは「自分自身を賭けて傷つけ。そして甘さを消せ」とも。

 ある意味、対策としてはウチの『短これ』がいちばん有効な分野かも……

4.条約

総評

 条約分野では、パリ条約・PCT・TRIPsの三体系が主要な出題対象となっている。

 近年ではこれにジュネーヴ改正協定とマドプロが加わるが、出題量としては、1問の中にジュネーヴ3肢、マドプロ2肢という「R7スタイル」が今後しばらくは定着しそうに見える。(リヤド意匠法条約に日本が正式加入したあとは、また少し変わるだろうけれど)

 条約に関しては、先にランキングを見てもらった方が話もしやすい。

条約・出題回数TOP30

順位 条文番号 登場回数
1パリ4条の2(1)20
2TRIPs51条11
3PCT19条(1)10
3パリ2条(1)10
5TRIPs29条(1)9
5パリ4条C(4)9
7TRIPs15条(1)8
7TRIPs25条(2)8
7TRIPs30条8
7パリ4条C(1)8
11PCT規則54の2.1(a)7
11TRIPs27条(3)(b)7
11パリ2条(3)7
11パリ3条7
11パリ4条E(1)7
11パリ4条F7
11パリ4条H7
11パリ4条の2(2)7
19PCT14条(1)(b)6
19PCT20条(3)6
19PCT規則90の2.1(a)6
19TRIPs42条6
19TRIPs52条6
19パリ11条(1)6
19パリ4条A(2)6
19パリ4条の2(5)6
19パリ5条C(1)6
19パリ6条の2(1)6
19パリ6条の5A(1)6
30PCT14条(2)5
30PCT34条(2)(b)5
30PCT36条(2)(b)5
30PCT規則26の2.1(a)5
30PCT規則45の2.1(a)5
30PCT規則66.1の2(a)5
30TRIPs15条(3)5
30TRIPs19条(2)5
30TRIPs25条(1)5
30TRIPs27条(2)5
30TRIPs27条(3)(a)5
30TRIPs43条(1)5
30TRIPs50条(3)5
30TRIPs53条(2)5
30パリ2条(2)5
30パリ4条A(1)5
30パリ4条A(3)5
30パリ4条B5
30パリ5条A(4)5
30パリ5条の3 2.5
30パリ5条の45
30パリ6条の2(2)5
30パリ7条5
30パリ9条(6)5
30マドプロ6条(3)5

条約のランキングから見えること

パリ条約がやはり強く、そして重要

 条約はPCTやTRIPsも重要だが、ランキング上位を見ると、パリ条約の存在感はかなり大きい。

 特に優先権関係は毎年のように確認される。

 ぶっちゃけ、ランキング上位におけるパリ条約の占有率が多い理由は、条文の数も少なく、同一の条文・論点から飽きもせず繰り返し出題されるからである。そのため、毎年たった2問とはいえ、もっとも落としてはいけない法域だ。

PCTは手続条文が狙われやすい

 PCT19条、14条、20条、34条、36条、各種規則など、国際段階の手続に関する条文が多く並んでいる。

 規則も合わせると条文数が多く、どこまでやるべきか迷ってしまいがちなPCT(特に規則)だが、こういう分野こそ出題回数ランキングを見れば、重点的に覚えるべき対象がハッキリと分かるだろう。

 ぜひランキングを参考にしてほしい。

 なお、条約が商標と並んで足切り(3点以下)の原因となりやすい理由は、ひとえに「PCTを諦めてしまう人が多いから」である。

 何より、(詳しくは後述するが)条約は論文を見据えた場合の重要科目

 特にPCTを投げてしまうと、短答では上手く逃げ切れても、どのみちその先で詰む。

貴様アアア!!
逃げるなアア!!!!
PCTから
逃げるなアア


 まあ、そういうことである。

TRIPsは頻出条文を厚く。そして……

 TRIPsは範囲が広そうに見えて、その実、頻出条文はある程度固まっている。

 特に15条、25条、27条、29条、30条、42条、50条、51条あたりが重点注意対象といえる。

 そして、これがもう1つの、TRIPsの隠れた大きな特徴。

  ↓  ↓  ↓

 「条文語尾のMUST / CANを問う問題が多い」

 これ。

 条文をよく読んで正確に覚えるのも大事だが、せっかくならChatGPTその他の生成AIに条文を直接貼り付けて、条文の語尾がなぜMUSTなのか、なぜCANなのか、質問してみよう

 こういうのは、そうなっている理由や、もしそうでなかった場合に何が起こるか? といった趣旨レベルで押さえておくと、本番で迷いがなくなる。実際、短これに自分が書いた解説も、ことMUST / CANに関しては、そのように調べて趣旨レベルで確認したものがある。

条約は意外と「稼ぎ科目」

 条約というと、苦手意識を持つ受験生が多い分野のようだが、実際には頻出条文がかなり偏っているし、何より広く浅いので、過去問や条文の素読みで「なんか見たことある!」といった程度の記憶でも得点に結びつけやすい。

 なのでPCTから逃げさえしなければ、8点前後はコンスタントに狙える科目である。

条約は(商標以上に)論文との相関が強い

 そして、これはnoteにもむかし書いたのだが、論文との相関が強いのは、いわゆる上四法と呼ばれる「特、実、意、商」ではない。

 正確には「特、実、意、条約」
 論文との相関が強いのはこの4つである。

 特に、条約は論文においても、

  • 特実→パリ条約・PCTから出題アリ
  • 意匠→パリ条約・ジュネーヴから出題アリ
  • 商標→マドプロから出題アリ

 といった形で、すべての科目に何らかの形でウザ絡みしてくる。

 一方、短答の商標は引っ掛けに全振りされてるので、論文との相関がそんなに強いとはいえない。

(論文との相関が本当に強ければ、論文対策を続けてきた三振組は再挑戦の短答で商標で足切りの3点なんかとらないし、短答ギリ4点だったのに論文は他科目より商標の点数が良いとか、あり得ない)

 なので、短答は4点でも突破さえできれば十分。

 論文に挑むにあたって、短答の商標4点はけっして不安材料ではない。短答と論文では、たとえ同じ「商標」でも、問われている論点の粒度があまりにも違うのである。

5.著作権法

総評

 著作権法は重要項目がハッキリしており、

  • 定義規定
  • 著作者
  • 著作者人格権
  • 著作物の利用と著作権侵害
  • 職務著作

 この辺りが特に重要となる。

 今回の集計でも、著15条1項著2条1項1号が頭一つ抜けており、誰が著作者か、何が著作物か、どの権利がどう発生するかという基本部分が重視されていることが分かる。

著作・出題回数TOP30

順位 条文番号 登場回数
1著15条1項37
2著2条1項1号34
3著20条1項18
4著21条17
5著18条1項16
6著2条1項11号14
7著2条1項2号13
8著23条1項12
9著89条1項11
10著19条1項10
10著30条1項10
12著17条1項9
13著14条8
13著16条8
13著25条8
13著26条1項8
13著2条1項12号8
13著32条1項8
19著100条7
19著26条の37
19著38条1項7
19著89条2項7
19著89条3項7
24著112条1項6
24著113条11項6
24著12条1項6
24著15条2項6
24著20条2項2号6
24著20条2項4号6
24著22条6
24著22条の26
24著26条の2第1項6
24著27条6
24著28条6
24著2条2項6
24著2条5項6
24著54条2項6
24著59条6
24著91条1項6


著作のランキングから見えること

職務著作~著作権の帰属問題が圧倒的に重要

 著15条1項がトップという結果は、著作権法の短答らしさをよく示している。

 実務でも試験でも頻出なので、職務著作や、映画を含めた著作権の帰属について、理解度を高める必要がある。

2条定義群(著作物該当性)の論点が地味に多い

 著2条1項1号、11号、2号、12号など、定義規定が非常に多く入っている。

 で、この「定義」に関してだが、ぶっちゃけた話、理解よりも「暗記」が早い

  • ○○は著作物に該当する。
  • ××は著作物に該当しない。

 このような形で論点を整理した一言論点集を作成し、論点として丸ごと暗記してしまうのだ。

 直前期には、下手に問題を数多く解くより、アレは○、コレは×といった形で「ただ読み返し、なんとなく覚える」方が、早く回せるという意味でもメリットが多い。

 何しろ、著作権法と不正競争防止法は「論文にない科目」である。

 特29条の2のように、時間をかけてでも完璧にしなければならない分野と異なり、直前期に「効率」を重視するのも当然といえる。

人格権・著作物の利用・著作権侵害は定番中の定番

 ランキングには、著18条、19条、20条、21条、23条、25条、26条など、主要な人格権・財産権がしっかり上位に入っている。

 この辺りも、条文の数こそ多そうに見えるが、ひとつの条文に対して問われる論点の数はごく少数に限られている
(特29条の2みたいに、同一条文に多くの論点があるワケじゃないってこと)

 なので、この辺りのテーマも「論点丸ごと暗記」で十分に戦える。

著作隣接権はいっそ「捨てる」のもアリ

 これが出題されると著作権法の難易度が一気に上がる、それが著作隣接権だ。

 もちろん、覚えられるなら覚えていくのもいいが、そもそも毎年必ず出る論点でもない。他に不安な法域があるのならそちらを優先し、著作隣接権は思い切って捨てるのもアリだろう。

 ただし、間違っても著作権全部を捨てて「本番もカンで解く」……これはやっちゃいけない。タブーである。

 近年の著不はノー勉で通るほど甘くない。

6.不競(不正競争防止法)

総評

 不正競争防止法は、今回の集計で最もはっきりとした特徴が出た法域の一つである。

 不2条1項1号(周知表示混同惹起行為)が112回と圧倒的で、2位以下を大きく引き離している。

不競・出題回数TOP30

順位 条文番号 登場回数
1不2条1項1号112
2不2条1項3号54
3不3条1項39
4不2条1項20号38
5不2条1項2号36
6不2条6項34
7不2条1項17号31
7不2条1項21号31
9不2条1項7号30
10不2条1項19号28
11不2条1項18号24
12不3条2項23
13不2条1項4号19
13不4条19
15不2条4項13
16不19条1項1号12
17不19条1項4号11
17不2条1項8号11
17不5条1項11
20不14条10
21不2条1項5号9
22不5条2項8
23不21条7
23不2条1項6号7
25不15条1項2号6
25不19条1項2号6
25不19条1項6号ロ6
25不19条1項7号6
29不2条1項9号5
29不5条4項5
29著120条の2第1号(※)5

 ちなみに、29位に「著120条の2第1号」がランクインしているが、これはミスではない。不正競争防止法の問題の中に、著120条の2第1号が登場する珍しい問題が1問(5肢)あったため、こうなっている。

不競法の学習について

 ぶっちゃけ、不競法といえばまずは2条。特に2条1項各号の理解が最重要となる。

 あとは、

  • 差止請求(不3条)
  • 損害賠償(不4条)
  • 損害額推定(不5条)
  • 適用除外(不19条)

 この辺りまで押さえると、5点中4点ぐらいはコンスタントにとれるようになるだろう。

不競法ならではの論点

 ほか、不競法の問題にはいかにも「不競法らしい」論点が存在する。

 それは、「道義的にはまずそうだけど、不競法の問題じゃないもんねー!」みたいな論点。

 代表的なのが、

  • 不正アクセス(不競法ではなく、不正アクセス禁止法で取り締まる問題)
  • リバースエンジニアリング(世間的には嫌われる行為だが、少なくとも不正競争にはならない)

 このあたりである。

総括

 今回のランキングからは、短答式試験が決して無秩序に出題されているわけではなく、制度の中心条文を繰り返し確認する構造を持っているという点が明らかになったと思える。

 各法域にはそれぞれ

  • 特29条の2
  • 意3条の2
  • 商3条&4条
  • パリ4条
  • 著15条
  • 不2条1項各号

 といった「王様条文」が存在する。

 短答学習の、特に試験直前期においては、まずこれらの頻出条文についての基本的な理解を確認することが、最も効率的な戦略の一つとなるだろう。