特許協力条約に基づく規則(PCT規則)

(2025年7月1日発効)

A部 序

第一規則 略称

1.1 略称の意味

  • (a) この規則において「条約」とは、特許協力条約をいう。
  • (b) この規則において「章」及び「条」とは、条約の当該章及び当該条をいう。

第二規則 用語の解釈

2.1「出願人」

 「出願人」というときは、出願人の代理人その他の代表者をもいうものとする。ただし、出願人の語が用いられている規定の表現若しくは性質又は文脈から明らかに異なつた意味に解される場合、例えば、特に、その規定が出願人の住所又は国籍に言及している場合は、この限りでない。

2.2「代理人」

 「代理人」というときは、代理人の語が用いられている規定の表現若しくは性質又は文脈から明らかに異なつた意味に解される場合を除くほか、90.1の規定に基づき選任された代理人をいうものとする。

2.2の2「共通の代表者」

 「共通の代表者」というときは、90.2の規定に基づき共通の代表者として選任され又は共通の代表者とみなされた出願人をいうものとする。

2.3「署名」

 「署名」というときは、受理官庁、管轄国際調査機関又は管轄国際予備審査機関が適用する国内法令が署名に代えて押印を要求している場合には、当該官庁又は当該機関については、押印をいうものとする。

2.4「優先期間」

  • (a) 優先権の主張に関して「優先期間」というときは、その優先権の基礎となる先の出願の出願の日から十二箇月の期間をいうものとする。先の出願の日はその期間に含まれない。
  • (b) 80.5の規定は、優先期間に準用する。

B部 第一章に関する規則

第三規則 願書(様式)

3.1 願書の様式

 願書は、印刷した様式を用いて作成し、又はコンピューター印字により表わす。

3.2 印刷した様式の入手の可能性

 印刷した様式は、受理官庁又は、受理官庁が希望する場合には、国際事務局が出願人に無料で提供する。

3.3 照合欄

  • (a) 願書には、次の事項を表示する欄を設ける。
    • (i) 国際出願の用紙の枚数の合計及び国際出願の各要素(願書、明細書(明細書の配列リストの部分の用紙の枚数を別個に表示する。)、請求の範囲、図面及び要約)のそれぞれの用紙の枚数
    • (ii) 該当する場合には、委任状(代理人又は共通の代表者を選任する書面)、包括委任状の写し、優先権書類、電子形式での配列リスト、手数料の支払に関する書類又は照合欄に明記するその他の書類の国際出願への添付の有無
    • (iii) 要約が掲載される場合にその要約とともに掲載するよう出願人が示す図の番号。例外的な場合には、出願人は、二以上の図を示すことができる。
  • (b) 照合欄は、出願人が表示するものとし、表示がない場合には、受理官庁が必要な事項を表示する。ただし、受理官庁は、(a)(iii)に規定する番号を表示してはならない 。

3.4 細目

3.3の規定に従うことを条件として、印刷した願書の様式及びコンピューター印字により表した願書に関する細目は、実施細則で定める。

第四規則 願書(内容)

4.1 必要的及び任意的な内容並びに署名

  • (a) 願書には、次の事項を記載する。
    • (i) 申立て
    • (ii) 発明の名称
    • (iii) 出願人及び、代理人がある場合には、代理人に関する表示
    • (iv) 指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称を表示することを定めている場合には、発明者に関する表示
  • (b) 願書には、該当する場合には、次の事項を記載する。
    • (i) 優先権の主張
    • (ii) 4.12(i)並びに12の2.1(b)及び(d)に規定する先の調査に関する表示
    • (iii) 原出願又は原特許の表示
    • (iv) 出願人が選択する管轄国際調査機関の表示
  • (c) 願書には、次の事項を記載することができる。
    • (i) いずれの指定国の国内法令も国内出願をする時に発明者の氏名又は名 称を表示することを定めていない場合であつても、発明者に関する表示
    • (ii) 優先権の主張の基礎となる出願が受理官庁である国内官庁又は政府間当局に出願されている場合には、優先権書類の作成及び国際事務局への送付についての受理官庁に対する請求
    • (iii) 規則4.17に規定する申立て
    • (iv) 4.18に規定する陳述
    • (v) 優先権の回復の請求
    • (vi) 4.12(ii)に規定する陳述
  • (d) 願書には、署名をする。

4.2 申立て

 申立ては、次の趣旨によるものとし、次の文言とすることが望ましい。
 署名者は、この国際出願が特許協力条約に従つて処理されることを請求する。

4.3 発明の名称

 発明の名称は、短く(英語の場合又は英語に翻訳した場合に二語以上七語以内であることが望ましい。)かつ的確なものとする。

4.4 氏名又は名称及びあて名

  • (a) 自然人の氏名については、姓及び名を記載するものとし、姓を名の前に記載する。
  • (b) 法人の名称については、完全な公式の名称を記載する。
  • (c) あて名については、郵便物が速やかに当該あて名に配達されるための慣習上の要件を満たすように記載するものとし、いかなる場合においても、すべての該当する行政単位(住居番号があるときはその番号を含む。)を記載する。指定国の国内法令が住居番号を記載することを要求していない場合には、その番号の記載がないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。出願人との速やかな連絡を可能にするため、出願人又は、該当する場合には、代理人若しくは共通の代表者の加入電信番号、電話番号、ファクシミリ番号又は他の同様の通信手段についてはこれらに相当する情報を記載することが望ましい。
  • (d) 各出願人、各発明者又は各代理人については、一のあて名のみを記載する。ただし、出願人又は二人以上の出願人がある場合にあつてすべての出願人を代表する代理人が選任されていないときは、出願人又は二人以上の出願人がある場合の共通の代表者については、願書に記載されたあて名に加え、通知が送付されるための他のあて名を記載することができる。

4.5 出願人

  • (a) 願書には、出願人又は、二人以上の出願人があるときは、各出願人につき、次の事項を記載する。
    • (i) 氏名又は名称
    • (ii) あて名
    • (iii) 国籍及び住所
  • (b) 出願人の国籍については、出願人が国民である国の国名を記載する。
  • (c) 出願人の住所については、出願人が居住者である国の国名を記載する。
  • (d) 願書には、異なる指定国について異なる出願人を記載することができる。この場合には、願書には各指定国又は各指定国群ごとに出願人を記載する。
  • (e) 出願人が受理官庁として行動する国内官庁に登録されている場合には、その番号又は他の表示を願書に記載することができる。

4.6 発明者

  • (a) 4.1(a)(iv)又は(c)(i)の規定が適用される場合には、願書には、発明者又は、二人以上の発明者があるときは、各発明者につき、その氏名又は名称及びあて名を記載する。
  • (b) 出願人が発明者である場合には、願書には、(a)の規定による記載に代えてその旨の陳述を記載する。
  • (c) 発明者の記載に関し指定国の国内法令の要件が同一でない場合には、願書には、異なる指 定国について異なる者を発明者として記載することができる。この場合には、願書には、各指定国又は各指定国群において特定の者又は同一の者を発明者とすべき旨の個別の陳述を記載する。

4.7 代理人

  • (a) 代理人が選任されている場合には、願書には、その旨を記載するものとし、代理人の氏名又は名称及びあて名を記載する。
  • (b) 代理人が受理官庁として行動する国内官庁に登録されている場合には、その番号又は他の表示を願書に記載することができる。

4.8 共通の代表者

 共通の代表者を選任した場合には、願書にその旨を記載する。

4.9 国の指定 、保護の種類、国内及び広域特許

  • (a) 願書の提出は、次の事項を構成する。
    • (i) 国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定
    • (ii) 第四十三条又は第四十四条が適用される指定国において、その国を指定することによつて得られる全ての種類の保護を求める旨の表示
    • (iii) 第四十五条(1)が適用される指定国において広域特許を求める旨及び、第四十五条(2)が適用される場合を除き、国内特許を求める旨の表示
  • (b) (a)(i)の規定にかかわらず、二千五年十月五日において、締約国の国内法令が、 当該国の指定及び当該国で効力を有する先の国内出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願により、当該先の国内出願が取下げと同一の効果をもって消滅することを定めている場合には、当該指定官庁が当該国の指定に関してこの規定が適用される旨を二千六年一月五日までに国際事務局に通告すること及びその通告が当該国際出願日になお効力を有することを条件として、当該国でされた先の国内出願に基づく優先権を主張する全ての願書は当該国を指定しない旨の表示を伴うことができる。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。

4.10 優先権の主張

  • (a) 第八条(1)に規定する申立て( 「優先権の主張」 )は、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国において若しくは同条約の締約国について又は同条約の締約国ではないが世界貿易機関の加盟国である国において若しくは同条約の締約国ではないが同機関の加盟国である国についてされた先の出願に基づく優先権を主張することによつて行うことができる。優先権の主張は、願書において行うものとし、先の出願に基づく優先権を主張する旨の陳述及び次の事項を記載することによつて行う。
    • (i) 先の出願の日付
    • (ii) 先の出願の番号
    • (iii) 先の出願が国内出願である場合にあつては、その出願がされた工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国又は同条約の締約国ではないが世界貿易機関の加盟国である国の国名
    • (iv) 先の出願が広域出願である場合にあつては、適用される広域特許条約に基づき広域特許を与える任務を有する当局
    • (v) 先の出願が国際出願である場合にあつては、その出願がされた受理官庁
  • (b) (a)(iv)又は(v)の規定に基づき要求される記載に加え、
    • (i) 先の出願が広域出願又は国際出願である場合にあつては、優先権 の主張には、その先の出願がその国についてされた一又は二以上の工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国の国名を記載することができる。
    • (ii) 先の出願が広域出願であり、かつ、当該広域出願について適用される広域特許条約の締約国のいずれかが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国又は世界貿易機関の加盟国のいずれでもない場合にあつては、優先権の主張には、その先の出願がその国についてされた国のうち少なくとも一の同条約の締約国又は同機関の加盟国の国名を記載する。
  • (c) 第二条(vi)の規定は、(a)及び(b)の規定については、適用しない。

4.11 継続出願若しくは一部継続出願又は原出願若しくは原特許の表示

  • (a) 次のいずれかの出願について 、
    • (i) 出願人が、49の2.1(a)若しくは(b)の規定により、国際出願がいずれかの指定国において追加特許、追加証、追加発明者証若しくは追加実用証を求める出願として取り扱われることを希望する旨の記載をする場合又は
    • (ii) 出願人が、49の2.1(d)の規定により、国際出願がいずれかの指定国において先の出願の継続出願若しくは一部継続出願として取り扱われることを希望する旨の記載をする場合には、
    • 願書には、その旨の表示を記載し、関連する原出願、 原特許又はその他原付与を表示する。
  • (b) (a)の規定による表示の願書面への記載は4.9の規定の適用上は効力を生じない。

4.12 先の調査の結果の考慮

  •  出願人が国際調査機関に対し、国際調査を行うに当たり、同一若しくは他の国際調査機関又は国内官庁によつて行われた先の国際調査、国際型調査又は国内調査(「先の調査」)の結果を考慮することを希望する場合には、
    • (i) 願書には、その旨の表示を記載し、当該機関又は当該官庁及び先の調査が行われた出願を明示する。
    • (ii) 願書には、該当する場合には、国際出願が先の調査が行われた出願と同一若しくは実質的に同一である旨又は異なる言語で出願されたことを除き国際出願が先の調査が行われた出願と同一若しくは実質的に同一である旨の陳述を記載することができる。

4.13 削除

4.14 削除

4.14の2 国際調査機関の選択

 国際出願についての国際調査を管轄する国際調査機関が二以上存在する場合には、出願人は、自己の選択する国際調査機関を願書に記載する。

4.15 署名

 願書には、出願人が署名をする。二人以上の出願人がある場合には、すべての出願人が署名をする。

4.16 特定の語の音訳又は翻訳

  • (a) 氏名若しくは名称又はあて名は、ローマ字以外の文字で記載する場合には、更に、単なる音訳又は英語への翻訳によりローマ字を用いて表示する。出願人は、いずれの語を単なる音訳とし又は翻訳とするかについて決定する。
  • (b) ローマ字以外の文字で記載する国名は、更に、英語で表示する。

4.17 51の2.1(a)(i)から(v)までに規定する国内的要件に関する申立て

 願書には、一又は二以上の指定国が適用する国内法令のために、実施細則に定める文言により、一又は二以上の次の申立てを含めることができる。

  • (i) 51の2.1(a)(i)に規定する発明者の特定に関する申立て
  • (ii) 出願し及び特許を与えられる国際出願日における出願人の資格であつて、51の2.1(a)(ii)に規定するものに関する申立て
  • (iii) 先の出願 に基づく優先権を主張する国際出願日における出願人の資格であつて、51の2.1(a)(iii)に規定するものに関する申立て
  • (iv) 51の2.1(a)(iv)に規定する発明者である旨の申立てであつて実施細則に定める署名がされたもの
  • (v) 51の2.1(a)(v)に規定する、不利にならない開示又は新規性の喪失の例外に関する申立て

4.18 引用により含める旨の陳述

 第十一条(1)(iii)に規定する一又は二以上の要素を受理官庁が最初に受理した日に、国際出願が先の出願に基づく優先権の主張を伴う場合において、第十一条(1 )(iii)(d)若しくは(e)に規定する国際出願の要素 、若しくは 20.5(a)に規定する明細書、請求の範囲若しくは図面の部分 、又は20.5の2(a)に規定する要素若しくは明細書、請求の範囲若しくは図面の部分が、当該国際出願に記載されていないが先の出願に完全に記載されているときは、20.6の規定の適用上、当該要素又は部分を20.6の規定に基づく確認に従つて引用により当該国際出願に含める旨の陳述を願書に記載することができる。当該陳述は、当該受理の日に願書に記載されていない場合には、当該受理の日に国際出願に記載され ている場合又は国際出願とともに提出された場合に限り、願書に追加することができる。

4.19 他の事項の記載

  • (a) 願書には、4.1から4.18までに定める事項以外のいかなる事項も記載してはならない。ただし、実施細則は、願書に記載することが許される他の事項を定めることができる。もつとも、他の事項の記載を義務的なものとすることはできない。
  • (b) 受理官庁は、願書に4.1から4.18までに定める事項以外の事項又は(a)の規定に従つて実施細則により願書に記載が許される事項以外の事項が記載されている場合には、当該記載事項を職権によつて抹消する。

第五規則 明細書

5.1 明細書の記述方法

  • (a) 明細書には、願書に記載されている発明の名称を冒頭に表示し及び次の事項を次のように記載する。
    • (i) その発明の関連する技術分野を明示する。
    • (ii) 出願人の知る限りにおいてその発明の理解、調査及び審査に有用であると思われる背景技術を表示する。また、その背景技術について記述している文献を引用することが望ましい。
    • (iii) 技術的課題(技術的課題が明白に記述されていない場合を含む。)及びその解決方法を理解することができるように、請求の範囲に記載されている発明を開示する。その発明が背景技術との関連において有利な効果を有する場合には、その効果を記載する。
    • (iv) 図面がある場合には、図について簡単に説明する。
    • (v) 請求の範囲に記載されている発明の実施 をするための形態のうち少なくとも出願人が最良であると考えるものを記載する。その記載は、適当なときは実施例を用いて、図面があるときはその図面を引用して行う。指定国の国内法令が最良の形態ではなくいずれかの形態(最良であると考えられるものであるかどうかを問わない。)を記載することを認めている場合には、出願人が最良であると考える形態が記載されていないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。
    • (vi) 発明の説明又は性質から明らかでない場合には、その発明の対象の産業上の利用方法並びに生産方法及び使 用方法又は、単に使用されるものであるときは、使用方法を明示的に記載する。「産業」の語は、工業所有権の保護に関するパリ条約におけると同様に最も広義に解釈する。
  • (b) (a)に規定する記述方法及び順序は、発明の性質上異なる記述方法又は順序により発明を一層よく理解することができるようになり及び表現が一層簡潔となる場合を除くほか、遵守する。
  • (c) (b)の規定に従うことを条件として、(a)の各事項の前には、実施細則に示す適当な見出しを付することが望ましい。

5.2 ヌクレオチド又はアミノ酸の配列の開示

  • (a) 国際出願がヌクレオチド又はアミノ酸の配列 であつて実施細則の規定に従つて配列リストに含まれることを要求されるもの の開示を含む場合には、明細書には、実施細則に定める基準を満たした明細書の配列リストの部分を含むものとする。
  • (b) 明細書の配列リストの部分 に含まれる言語依存フリーテキストは、明細書の主要な部分に含まれることを要しない。

第六規則 請求の範囲

6.1 請求の範囲の数及び番号の付け方

  • (a) 請求の範囲の数は、請求の範囲に記載される発明の性質を考慮して妥当な数とする。
  • (b) 請求の範囲の数が二以 上の場合には、請求の範囲には、アラビア数字により連続番号を付する。
  • (c) 請求の範囲について補正をする場合における番号の付け方は、実施細則で定める。

6.2 国際出願の他の部分の引用

  • (a) 請求の範囲は、不可欠である場合を除くほか、発明の技術的特徴について明細書又は図面を引用する記載によつてはならない。特に、請求の範囲は、「明細書の…の箇所に記載したように」又は「図面の… の図に示したように」のような引用をする記載によつてはならない。
  • (b) 国際出願が図面を含む場合には、請求の範囲に記載されている技術 的特徴には、その特徴に係る引用符号を付することが望ましい。引用符号は、括弧を付して用いることが望ましい。引用符号を付することが請求の範囲の速やかな理解を特に容易にするものでない場合には、引用符号は、用いない。指定官庁は、公表に当たつては、引用符号を省略することができる。

6.3 請求の範囲の記述方法

  • (a) 保護が求められている事項は、発明の技術的特徴を記載することによつて明示する。
  • (b) 請求の範囲には、適当と認められるときは、次のものを含める。
    • (i) 保護が求められている事項の明示に必要な発明の技術的特徴であつて結合して先行技術をなすものを表示する陳述
    • (ii) (i)の規定に従つて記載された技術的特徴と結合して保護が求められている技術的特徴を簡潔に記載する特徴部分。この部分は、「に特徴を有する」、「を特徴とする」、「のように改良した」又はその他これらの表現と同様の表現を用いて示される。
  • (c) 指定国の国内法令が(b)に規定する請求の範囲の記述方法を定めていない場合には、その記述 方法に従わないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。ただし、実際に用いられる請求の範囲の記述方法が当該指定国の国内法令の要件を満たしている場合に限る。

6.4 従属請求の範囲

  • (a) 一又は二以上の他の請求の範囲のすべての特徴を含む請求の範囲(この従属的な形式の請求の範囲を以下「従属請求の範囲」という。)の記載は、可能なときは冒頭に、他の請求の範囲を引用して行い、次に、保護が求められている追加の特徴を記載することによつて行う。二以上の他の請求の範囲を引用する従属請求の範囲(「多数従 属請求の範囲」)は、引用しようとする請求の範囲を択一的な形式によつてのみ引用する。多数従属請求の範囲は、他の多数従属請求の範囲のための基礎として用いてはならない。国際調査機関として行動する国内官庁に係る国の国内法令が多数従属請求の範囲を前二文に規定する請求の範囲の記述方法と異なる方法によつて起草することを許していない場合において、前二文に規定する請求の範囲の記述方法に従わないときは、国際調査報告に第十七条(2)(b)の規定に基づく表示をすることができる。実際に用いられる請求の範囲の記述方法が指定国の国内法令 の要件を満たしている場合には、第二文又は第三文に規定する請求の範囲の記述方法に従わないことは、当該指定国においていかなる影響も及ぼすものではない。
  • (b) 従属請求の範囲は、それが引用する請求の範囲に含まれるすべての限定又は、従属請求の範囲が多数従属請求の範囲である場合には、当該多数従属請求の範囲と関係する特定の請求の範囲に含まれるすべての限定を含むものと解する。
  • (c) 前の単一の請求の範囲を引用するすべての従属請求の範囲及び前の二以上の請求の範囲を引用するすべての従属請求の範囲は、可能な範囲でかつ最も実際的な方法で取りまとめて記載する。

6.5 実用新案

 国際出願に基づき実用新案を与えることを求められている指定国は、国際出願の処理がその指定国において開始された後は、6.1から6.4までに規定する事項につき、これらの規定に代えて実用新案に関する国内法令の規定を適用することができる。ただし、出願人が、出願を当該国内法令の規定に適合させるため、第二十二条に規定する当該期間の満了の後少なくとも二箇月の期間の猶予を与えられることを条件とする。

第七規則 図面

7.1 工程図及び図表

 工程図及び図表は、図面とする。

7.2 期間

 第七条(2)(ii)に規定する期間は、事情に応じて相当の期間とし、いかなる場合にも、同条(2)(ii)の規定に基づいて図面又は追加の図面の提出を要求する書面の日付の日から二箇月未満であつてはならない。

第八規則 要約

8.1 要約の内容及び形式

  • (a) 要約は、次の事項から成る。
    • (i) 明細書、請求の範囲及び図面に含まれている開示の概要。概要は、発明の属する技術分野を表示し、並びに技術的課題、発明による技術的課題の解決方法の要点及び発明の主な用途を明瞭に理解することができるように起草する。
    • (ii) 該当する場合には、国際出願に記載されているすべての化学式のうち発明の特徴を最もよく表すもの
  • (b) 要約は、表現することができる限りにおいて簡潔なもの(英語の場合又は英語に翻訳した場合に五十語以上百五十語以内であることが望ましい。)とする。
  • (c) 要約には、請求の範囲に記載されている発明の利点若しくは価値の主張又はその発明の思惑的な利用について記載してはならない。
  • (d) 要約に記載されている主要な技術的特徴であつて国際出願の図面に示されているもののそれぞれには、括弧付きの引用符号を付する。

8.2 図

  • (a) 出願人が3.3(a)(iii)に掲げる表示をしない場合又は国際調査機関が図面全体のすべての図のうち出願人の示した図以外の図が発明の特徴を一層よく表していると認めた場合には、国際調査機関は、(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際事務局が要約とともに公表する図を表示する。この場合 には、要約とともに、国際調査機関の表示した図を公表する。その他の場合には、(b)の規定が適用される場合を除くほか、要約とともに出願人の示した図を公表する。
  • (b) 国際調査機関は、図面中のいずれの図も要約の理解に役立たないと認めた場合には、国際事務局にその旨を通知する。この場合には、国際事務局による要約の公表に、出願人が3.3(a)(iii)の規定に従つて図を示している場合であつても、いかなる図も掲載しない。

8.3 起草上の指針

 要約は、当該技術分野における調査のための選別手段として、特に、当該国際出願自体を調べる必要性の有無を判断する上で科学者、技術者又は研究者に役立つよう、効率的に利用することができるように起草する。

第九規則 使用してはならない表現等

9.1 定義

 国際出願には、次のものを記載してはならない。

  • (i) 善良の風俗に反する表現又は図面
  • (ii) 公の秩序に反する表現又は図面
  • (iii) 出願人以外の特定の者の生産物、方法又は出願若しくは特許の利点若しくは有効性を誹謗する記述(先行技術との単なる比較は、それ自体では、誹謗とはみなさない。
  • (iv) 状況からみて明らかに関連性のない又は不必要な記述又は他の事項

9.2 規定が遵守されていないことの注記

 受理官庁、国際調査機関、補充調査のために指定された機関 及び国際 事務局 は、9.1の規定が遵守されていないことを注記することができるものとし、国際出願を自発的に訂正するよう出願人に示唆することができる。 この場合において、受理官庁、管轄国際調 査機関、補充調査のために指定された管轄機関及び国際事務局は、該当する場合には、そのような示唆について通知を受ける。

9.3 第二十一条(6)との関係

 第二十一条(6)にいう「誹謗の記載」とは、9.1(iii)に規定する意味を有する。

第十規則 用語及び記号

10.1 用語及び記号

  • (a) 度量衡の単位は、メートル法で記載するものとし、メートル法以外のもので記載した場合には、メートル法によるものを併記する。
  • (b) 温度は、摂氏で記載するものとし、摂氏以外のもので記載した場合には、摂氏によるものを併記する。
  • (c) 削除
  • (d) 熱、エネルギー、光、音及び磁気の表示並びに数式及び電気の単位については、国際慣行に従う。化学式については、一般に用いられている記号、原子量及び分子式を用いる。
  • (e) 技術用語、記号及び符号は、通常、当該技術分野において一般に採用されているものを用いる。
  • (f) 国際出願又はその翻訳文を英語、中国語又は日本語で作成する場合には、小数部分は、最初に小数点を付することによつて表示し、国際出願又はその翻訳文を英語、中国語又は日本語以外の言語で作成する場合には、小数点は、コンマを用いる。

10.2 一貫性

 用語及び記号は、当該国際出願の全体を通じて一貫して使用する。

第十一規則 国際出願の様式上の要件

11.1 提出部数

  • (a) 国際出願及び照合欄に明記する各書類(3.3(a)(ii))は、(b)の規定に従うことを条件として、一通を提出する。
  • (b) 受理官庁は、国際 出願及び照合欄に明記する各書類(3.3(a)(ii))(支払つた手数料の領収書又は手数料の支払のための小切手を除く。)について、二通又は三通を提出することを要求することができる。この場合には、受理官庁は、記録原本と他の一通又は二通との同一性を確認する責任を負う。

11.2 複製のための適合性

  • (a) 国際出願のすべての要素(願書、明細書、請求の範囲、図面及び要約)は、写真、静電的方法、写真オフセット及びマイクロフィルムによつて、直接に任意の部数の複製をすることができるように作成する。
  • (b) 用紙には、しわ及び裂け目があつてはならない。用紙は、折つてはならない。
  • (c) 用紙は、片面のみを用いる。
  • (d) 用紙は、11.10(d)及び11.13(j)の規定が適用される場合を除くほか、縦長にして用いる(用紙の短辺を上下とする。)。

11.3 使用すべき材料

 国際出願のすべての要素は、可撓性のある、丈夫な、白色の、滑らかな、光沢のない、かつ、耐久性のある紙を用いて作成する。

11.4 用紙の別等

  • (a) 国際出願の各要素(願書、明細書、請求の範囲、図面及び要約)は、別個の用紙を用いて作成する。
  • (b) 国際出願のすべての用紙は、調べる際に容易にめくることができるよう並びに複製のため容易に分離し及びとじ直すことができるようにとじる。

11.5 用紙の大きさ

 用紙の大きさは、A4判(縦二十九・七センチメートル、横二十一センチメートル)とする。ただし、受理官庁は、他の大きさの用紙による国際出願を許すことができる。もつとも、国際事務局に送付する記録原本及び、管轄国際調査機関が要求するときは、調査用写しは、 A4判の大きさとする。

11.6 余白

  • (a) 明細書、請求の範囲及び要約を記載する用紙の余白は、少なくとも次のとおりとする。
    • 上端 二センチメートル
    • 左端 二・五センチメートル
    • 右端 二センチメートル
    • 下端 二センチメートル
  • (b) (a)に規定する余白については、次の数値を超えないことが望ましい。
    • 上端 四センチメートル
    • 左端 四センチメートル
    • 右端 三センチメートル
    • 下端 三センチメートル
  • (c) 図面を記載する用紙については、その使用することができる面は、縦二十六・二センチメートル、横十七センチメ ートルを超えないものとする。用紙の使用することができる面又は使用した面の周囲には、枠を記載してはならない。余白は、少なくとも次のとおりとする。
    • 上端 二・五センチメートル
    • 左端 二・五センチメートル
    • 右端 一・五センチメートル
    • 下端 一センチメートル
  • (d) (a)から(c)までに定める余白は、A4判の大きさの用紙について適用する。したがつて、受理官庁がA4判以外の大きさの用紙を許す場合においても、A4判の大きさの記録原本及び、要求されたときは、A4判の大きさの調査用写しには、(a)から(c)までに定める余 白をとる。
  • (e) (f)及び11.8(b)の規定に従うことを条件として、国際出願の余白は、その提出の際は、完全な空白としておかなければならない。
  • (f) 上端の余白の左隅には、出願人の書類記号を付することができる。ただし、書類記号は、用紙の上端から一・五センチメートル以内に付さなければならない。出願人の書類記号の文字数は、実施細則に定める数を超えてはならない。

11.7 用紙の番号の付け方

  • (a) 国際出願のすべての用紙には、アラビア数字により連続番号を付する。
  • (b) (a)の番号は、用紙の上端又は下端(余白を除く。)の中央に付する。

11.8 行の番号の付け方

  • (a) 明細書及び請求の範囲の各用紙には、五行目ごとに番号を付することが極めて望ましい。
  • (b) (a)の番号は、用紙の左側の余白の右半分に付する。

11.9 記載事項の書き方

  • (a) 願書、明細書、請求の範囲及び要約は、タイプ印書又は印刷による。
  • (b) 図式記号、化学式、数式及び中国語又は日本語の特定の漢字に限り、必要なとき は、手書きによることができる。
  • (c) タイプ印書による場合には、行の間隔は、一・五文字の幅とする。
  • (d) 記載事項は、大文字の大きさが縦〇・二八センチメートル以上の文字及び暗色の退色性のない色であつて11.2に定める要件を満たすもので記載する。ただし、願書の文言は、大文字の大きさが縦〇.二一センチメートル以上の文字で記載することができる。
  • (e) (c)及び(d)の規定は、タイプ印書による場合の行の間隔及び文字の大きさに関する限り、中国語又は日本語による記載については、適用しない。

11.10 図、式及び表を用いる記載

  • (a) 願書、明細書、請求の範囲及び要約には、図を記載してはならない。
  • (b) 明細書、請求の範囲及び要約には、化学式又は数式を記載することができる。
  • (c) 明細書及び要約には、表を使用することができる。請求の範囲には、表を使用することが望ましい事項についてのみ、表を使用することができる。
  • (d) 表及び化学式又は数式は、その上下を正しくしては縦長にして用いられる用紙に十分に配置することができない場合には、横にして用紙の長辺と並行に配置することができる。表、化学式又は 数式がそのように配置される用紙は、表又は式の上端が用紙の左側になるようにして提示する。

11.11 図面中の語句

  • (a) 図面には、不可欠な場合における「水」、「蒸気」、「開」、「閉」、「ABの切断面」等の単語又は語句並びに電気回路、ブロックダイヤグラム及び工程図表の場合における理解のために不可欠な表示のための短い語句を除くほか、文言を記載してはならない。
  • (b) 用いる語は、翻訳された場合にその語が覆われることになるように、また、図面中のいずれの線にもかかることなくその翻訳をはり付けることができるように 配置する。

11.12 訂正等

 各用紙においては、合理的な範囲を超えて消してはならず、また、訂正、重ね書き及び行間挿入を行つてはならない。内容の真正であることに疑いがなく、かつ、良好な複製のための要件が損なわれないことを条件として、第一文の規定に従わないことを認めることができる。

11.13 図面に関する特別の要件

  • (a) 図面は、耐久性のある、黒色の、十分に濃厚な、均一の太さの、かつ、明瞭な線及び画で着色することなく、作成する。
  • (b) 切断面は、平行斜線によつて示す。この場合において、引用符号及び引出し線の明瞭な読取りが妨げられてはならない。
  • (c) 図の大きさ及び作図の明瞭性は、三分の二の線縮尺による写真複製をした場合にすべての細部を容易に識別することができるようなものとする。
  • (d) 例外的に図面の尺度を示す場合には、尺度は、図式で表示する。
  • (e) 図面に記載するすべての数字、文字及び引出し線は、簡潔かつ明瞭 なものとする。括弧、円又は引用符は、数字及び文字とともには、用いない。
  • (f) 図面中のすべての線は、通常、製図用具を用いて引く。
  • (g) 図の各要素は、異なる比率を使用することが図の明瞭性に不可欠な場合を除くほか、図中の他の要素のそれぞれに対して妥当な比率のものとする。
  • (h) 数字及び文字の大きさは、縦〇・三二センチメートル以上とする。図面中の文字は、ローマ字及び、慣習となつている場合には、ギリシャ文字を用いる。
  • (i) 図面の同一の用紙には、二以上の図を記載することができる。二以上の用紙に描く図が単一の完全な図を構成する場合には、二以上の用紙に描く図は、単一の完全な図を得るように合わせたときに各用紙に示されているいずれの図のいずれの部分をも隠すこととならないように配置する。
  • (j) 個々の図は、不必要な間隔を置くことなく、望ましくは図の上下を正しく、相互に十分に離して一又は二以上の用紙に配置する。図の上下を正しく配置することができない場合には、図の上端が用紙の左側になるように図を横にして用紙の長辺と並行に配置して提示する。
  • (k) 個々の図には、用紙の番号とは関係なく、アラビア数字により連続番号を付する 。
  • (l) 明細書に用いない引用符号は図面に、図面に用いない引用符号は明細書に用いない。
  • (m) 同一の部分は、引用符号を用いて示す場合には、当該国際出願の全体を通じて同一の符号によつて示す。
  • (n) 図面に多数の引用符号を用いる場合には、すべての引用符号及びその対応する部分を掲げる別紙を添付することが極めて望ましい。

11.14 後に提出する書類

 第十規則及び11.1から11.13までの規定は、国際出願をした後に提出するすべての書類(例えば、差替え用紙、補正後の請求の範囲、翻訳文)についても適用する。

第十二規則 国際出願の言語並びに国際調査及び国際公開のための翻訳文

12.1 国際出願をするために認められる言語

  • (a) 国際出願は、受理官庁が国際出願のために認める言語で行う。
  • (b) 各受理官庁は、国際出願をするために、次の(i)及び(ii)に該当する言語のうち少なくとも一の言語を認める。
    • (i) 受理官庁に提出した国際出願の国際調査を管轄する国際調査機関又は該当する場合には二以上の国際調査機関のうち少なくとも一の国際調査機関が認める言語
    • (ii) 国際公開の言語
  • (c) (a)の規定にかかわらず、願書は、受理官庁がこの(c)の規定の適用上認める国際公開の言語で提出する。
  • (d) (a)の規定にかかわらず、明細書の配列リストの部分に記載されている 言語依存フリーテキストは、受理官庁が言語依存フリーテキストのために認める言語で提出する。この(d)の規定に基づいて認められるが(a)の規定に基づいて認められない言語は、(b)の規定の要件を満たすものとする。受理官庁は、実施細則に定めるところにより言語依存フリーテキストを二以上の言語で提出することを認めることができるが、これを要求してはならない。

12.1の2 20.3、20.5 、20.5の2 又は20.6の規定に基づき提出される要素及び部分の言語

 20.3(b)、20.5の2(b)、20.5の2(c) 又は2 0.6(a)の規定に基づき出願人により提出される第十一条(1)(iii)(d)又は(e)に規定する要素及び20.5(b) 、20.5(c)、20.5の2(b)、20.5の2(c) 又は20.6(a)の規定に基づき出願人が提出する明細書、請求の範囲又は図面の部分は、出願時における国際出願の言語で作成し、12.3(a)又は12.4(a)の規定に基づき出願の翻訳が要求される場合には、出願時における国際出願の言語及び当該翻訳の言語で作成する。

12.1の3 13の2.4の規定に基づき提出される表示の言語

 13の2.4の規定に基づき提出される寄託された生物材料に関する表示は、国際出願の言語で記載する。ただし、12.3(a)又は12.4(a)の規定に基づき国際出願の翻訳が要求されている場合には、当該表示は、当該国際出願がされた言語及び当該翻訳の言語で提出する。

12.2 国際出願に加える変更の言語

  • (a) 国際出願についての補正は、46.3 及び 55.3に規定する場合を除くほか、当該国際出願がされた言語で行う。
  • (b) 91.1に規定する国際出願中の明白な誤記の訂正は、当該国際出願がされた言語で行う。ただし、次の(i)及び(ⅱ (ii)に規定する場合を除く。
    • (i) 国際出願の翻訳文が12.3(a)、12.4(a)又は55.2(a)の規定に基づき要求される場合には、91.1(b)(ii)及び(iii)に規定する訂正は、当該国際出願の言語及びその翻訳文の言語の双方で行う。
    • (ii) 願書の翻訳文が26.3の3(c)の規定に基づき要求される場合には、91.1(b)(i)に規定する訂正は、その翻訳文の言語のみで足りる。
  • (c) 第二十六規則の規定に基づく国際出願の欠陥の補充は、当該国際出願がされた言語で行う。12.3又は12.4の規定に基づき提出され る国際出願の翻訳文の第二十六規則に基づく欠陥の補充、55.2(a)の規定に基づき提出される翻訳文の55.2(c)の規定に基づく欠陥の補充、又は26.3の3(c)の規定に基づき提出される願書の翻訳文の欠陥の補充は、その翻訳文の言語で行う。

12.3 国際調査のための翻訳文

  • (a) 国際出願が国際調査を行う国際調査機関により認められていない言語によりされた場合には、出願人は、受理官庁が国際出願を受理した日から一箇月以内に、当該受理官庁に次のすべてを満たす言語による翻訳文を提出する。
    • (i) 当該国際調査機関が 認める言語
    • (ii) 国際公開の言語
    • (iii) 国際出願が国際公開の言語でされる場合を除くほか、12.1(a)の規定に基づき受理官庁が認める言語
  • (aの2) 明細書の配列リストの明細書の配列リストの部分については、(a)の規定は言語依存フリーテキストについてのみ適用する。言語依存フリーテキストの翻訳文については、実施細則で定める。
  • (b) (a)の規定は、願書については適用されない。
  • (c) 受理官庁が20.2(c)の規定に基づく通知を出願人に送付するまでに出願人が(a)の規定に基づき要求される翻訳文を提出しなか つた場合には、受理官庁は、望ましくは当該通知とともに、出願人に対し次のことを求める。
    • (i) (a)に規定する期間内に要求された翻訳文を提出すること。
    • (ii) (a)に規定する期間内に要求された翻訳文が提出されなかつた場合には、その求めの日から一箇月の期間又は受理官庁による国際出願の受理の日から二箇月の期間のうちいずれか遅く満了する期間内に当該翻訳文を提出し及び該当するときは(e)に定める遅延提出手数料を支払うこと。
  • (d) 受理官庁が(c)の規定に基づく求めを出願人に送付し、かつ、出願人が(c)(ii)に規定する当該期間内に要求される翻訳文の提出及び要求される遅延提出手数料の支払を行わなかつた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。受理官庁がその宣言を行う前であり、かつ、優先日から十五箇月の期間を経過する前に当該受理官庁が受理した翻訳文及び支払は、当該期間の満了前に受理したものとみなす。
  • (e) 受理官庁は、(a)に規定する期間の満了後の翻訳文の提出については、手数料表一に掲げる三十枚を超える国際出願の用紙一枚ごとの料金を考慮に入れない国際出願手数料の二十五パーセントに等しい遅延提出手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。

12.4 国際公開のための翻訳文

  • (a) 国際出願が国際公開の言語でない言語でされ、かつ、翻訳文が12.3(a)の規定に基づき要求されていない場合には、出願人は、優先日から十四箇月の期間内に、受理官庁に対し、受理官庁がこの(a)の規定の適用上認める国際公開の言 語による国際出願の翻訳文を提出する。
  • (aの2) (aの2)明細書の配列リストの明細書の配列リストの部分については、(a)の規定は言語依存フリーテキストについてのみ適用する。言語依存フリーテキストの翻訳文については、実施細則で定める。
  • (b) (a)の規定は、願書については適用されない。
  • (c) 出願人が(a)に規定する期間内に(a)の規定に基づき要求される翻訳文を提出しなかつた場合には、受理官庁は、出願人に対し、優先日から十六箇月の期間内にその翻訳文を提出し及び該当するときは(e)に規定する遅延提出手数料の支払を求め る。受理官庁がその求めを送付する前に当該受理官庁が受理した翻訳文は、(a)に規定する期間の満了前に受理したものとみなす。
  • (d) 出願人が(c)に規定する期間内に要求される翻訳文の提出及び要求される遅延提出手数料の支払を行わなかつた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。受理官庁がその宣言を行う前であり、かつ、優先日から十七箇月の期間を経過する前に当該受理官庁が受理した翻訳文及び支払は、(c)に規定する期間の満了前に受理したものとみなす。
  • (e) 受理官庁は、(a)に 規定する期間の満了後の翻訳文の提出については、手数料表一に掲げる三十枚を超える国際出願の用紙一枚ごとの料金を考慮に入れない国際出願手数料の二十五パーセントに等しい遅延提出手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。

第十二規則の二 先の調査 に関する書類の出願人による提出

12の2.1 4.12の規定に基づく請求における 先の調査 に関する書類の出願人による提出

  • (a) 出願人が同一若しくは他の国際調査機関又は国内官庁によつて行われた先の調査の結果を考慮するよう4.12の規定に基づき国際調査機関に対して請求した場合には、出願人は、(b)から(d)までの規定に従うことを条件として、国際出願とともに先の調査の結果の写しを当該機関又は当該官庁が作成する形式(例えば、調査報告、列記された先行技術の一覧表、審査報告の形式)で受理官庁に提出する。
  • (b) 先の調査が受理官庁として行動する官庁と同一の官庁によつて行われた場合には、出願人は、(a)に規定する写しの提出に代えて、受理 官庁に対し、それを作成し、国際調査機関に送付することを希望する旨を記載することができる。その請求は、願書において行うものとし、また、受理官庁は、手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。
  • (c) 先の調査が同一の国際調査機関又は国際調査機関として行動する官庁と同一の官庁によつて行われた場合には、(a)に規定する写しは、( の規定に基づいて提出することを要求されない。
  • (d) (a)に規定する写し が受理官庁 又は国際調査機関が認めた形式及び方法で、例えば、電子図書館により当該 受理官庁又は 国際調査機関が 入手可能である場合において、出願人が願書にその旨を記載したときは、写しは、(a)の規定に基づいて提出することを要求されない。

12の2.2 4.12の規定に基づく請求における先の調査に関する書類の提出の国際調査機関による求め

  • (a) 国際調査機関は、(b)及び(c)の規定に従うことを条件として、事情に応じて相当の期間内に、出願人に対し、次のものを提出するよう求めることができる。
    • (i) 関係する先の出願の写し
    • (ii) 先の出願が当該国際調査機関が認めていない言語でされた場合には、当該国際調査機関が認める言語による当該先の出願の翻訳文
    • (iii) 先の調査の結果が当該国際調査機関が認めていない言語で作成された場合には、当該国際調査機関が認める言語による当該先の調査の結果の翻訳文
    • (iv) 先の調査の結果に列記された文献の写し
  • (b) 先の調査が同一の国際調査機関若しくは国際調査機関として行動する官庁と同一の官庁によつて行われた場合又は(a)に規定する写し若しくは翻訳文が当該国際調査機関が認めた形式及び方法で、例えば、電子図書館により若しくは優先権書類の形式で当該国際調査機関が入手可能である場合には、(a)に規定する写し又は翻訳文は、(a)の規定に基づいて提出することを要求されない。
  • (c) 願書に国際出願が先の調査が行われた出願と同一若しくは実質的に同一である旨又は異なる言語で出願されたことを除いて国際出願が先の調査が行われた出願と同一若しくは実質的に同一である旨の陳述が4.12(ii)の規定に基づいて記載された場合には、(a)(i)及び(ii)に規定する写し又は翻訳文は、これらの規定に基づいて提出することを要求されない。

第十三規則 発明の単一性

13.1 要件

 国際出願は、一の発明又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明についてのみ行う( 「発明の単一性の要件」 )。

13.2 発明の単一性の要件を満たしていると認められる場合

 一群の発明が同一の国際出願の請求の範囲に記載されている場合には、これらの発明の間に一又は二以上の同一の又は対応する特別な技術的特徴を含む技術的な関係があるときに限り、13.1に規定する発明の単一性の要件は満たされる。「特別な技術的特徴」とは、請求の範囲に記載された各発明が全体として先行技術に対して行う貢献を明示する技術的特徴をいう。

13.3 請求の範囲の記載方法により影響されない発明の単一性の判断

 一群の発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関しているかの判断は、これらの発明が別個の請求の範囲に記載されているか単一の請求の範囲に択一的な形式によつて記載されているかを考慮することなく行う。

13.4 従属請求の範囲

 13.1の規定に従うことを条件として、従属請求の範囲の特徴がそれ自体で発明を構成すると認められる場合であつても、独立請求の範囲に記載されている発明の特定の態様 について保護を求める相当の数の従属請求の範囲を同一の国際出願に包含させることが許される。

13.5 実用新案

 国際出願に基づき実用新案を与えることを求められている指定国は、国際出願の処理がその指定国において開始された後は、13.1から13.4までに規定する事項につき、これらの規定に代えて実用新案に関する国内法令の規定を適用することができる。ただし、出願人が、出願を当該国内法令の規定に適合させるため、第二十二条に規定する当該期間の満了の後少なくとも二箇月の期間の猶予を与えられることを条件とする。

第十三規則の二 生物材料に係る発明

13の2.1 定義

 この第十三規則の二の規定の適用上、「寄託された生物材料への言及」とは、寄託機関に対する生物材料の寄託又は寄託された当該生物材料に関して国際出願に記載された事項をいう。

13の2.2 言及(総則)

 寄託された生物材料への言及は、この第十三規則の二の規定に従つて行うものとし、その場合には、各指定国の国内法令の要件を満たしているものとみなす。

13の2.3 言及の内容及び言及又は表示が含まれていない場合

  • (a) 寄託された生物材料への言及には、次の事項を表示する。
    • (i) 寄託をした寄託機関の名称及びあて名
    • (ii) 当該寄託機関に生物材料を寄託した日付
    • (iii) 当該寄託機関が寄託について付した受託番号
    • (iv) 13の2.7 (a)(i)の規定により国際事務局が通知を受けた追加事項。ただし、当該追加事項を表示するとの要件が国際出願のされる時の遅くとも二箇月前までに13の2.7(c)の規定に従つて公報に掲載された場合に限る。
  • (b) 寄託された生物材料への言及が含まれていないこと又は寄託された生物材料への言及に(a)の規定による表示が含まれていないことは、指定国の国内法令が国内出願に当該言及又は当該表示を要求していない場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。

13の2.4 言及における表示の届出の期限

  • (a) (b)及び(c)の規定が適用される場合を除くほか、出願時における国際出願に おいて13の2.3(a)に掲げる事項の表示のいずれかが寄託された生物材料への言及に含まれていない場合において、
    • (i) 優先日から十六箇月以内に国際事務局に届け出られたときは、その表示は、指定官庁について所定の期限までに行われたものとみなす。
    • (ii) 優先日から十六箇月を経過した後に国際事務局に届け出られたときであつても、その表示が国際公開の技術的準備が完了する前に国際事務局に到達した場合には、その表示は、指定官庁について当該期間の末日に行われたものとみなす。
  • (b) 指定官庁が適用する国内法令が国内出願に ついて要求している場合には、当該指定官庁は、13の2.3(a)に掲げる事項の表示を優先日から十六箇月よりも早い時に届け出ることを要求することができる。ただし、13の2.7(a)(ii)の規定により国際事務局がその要件の通知を受け、かつ、国際事務局が国際出願のされる時の遅くとも二箇月前までにその要件を13の2.7(c)の規定に従つて公報に掲載した場合に限る。
  • (c) 指定官庁は、出願人が第二十一条(2)(b)の規定に基づいて 早期 の国際公開の請求をする場合には、国際公開の技術的準備が完了する前に届け出られていない表示を所定の期限までに行われなかつたものとみなすことができる。
  • (d) 国際事務局は、(a)の規定により届け出る表示を受理した日付を出願人に通知するとともに、次のことを行う。
    • (i) 表示が国際公開の技術的準備が完了する前に受理された場合には、(a)の規定により届け出る表示及び受理の日の表示を国際出願とともに公表すること。
    • (ii) 表示が国際公開の技術的準備が完了した後に受理された場合には、当該日付及び(a)の規定により届け出る表示に関連のある事項の表示を指定官庁に通知すること。

13の2.5 一又は二以上の指定国のための言及及び表示、異なる指定国のための異なる寄託並びに通知された寄託機関以外の寄託機関に対する寄託

  • (a) 寄託された生物材料への言及は、指定国のうち一部の国のためにのみ明示的に行われた場合を除くほか、すべての指定国のために行われたものとみなす。言及に含まれる表示についても、同様とする。
  • (b) 生物材料の異なる寄託への言及は、異なる指定国のために行うことができる。
  • (c) 指定官庁は、13の2.7(b)の規定に従つて通知された寄託機関以外の寄託機関にされた寄託を無視することができる。

13の2.6 試料の分譲

 国際出願に言及が行われた寄託された生物材料の試料の分譲は、出願人の承諾を得た場合を除くほか、第二十三条及び第四十条の規定に従い、国内処理をそれらの規定により開始することができる当該期間の満了時前は行われない。ただし、出願人が当該期間の満了前であるが国際公開の後に第二十二条又は第三十九条に規定する行為をする場合には、当該行為の後は、寄託された生物材料の試料の分譲を行うことができる。この(b)の規定にかかわらず、指定官庁が適用する国内法令に基づき国際公開が審査を経ていない国内出願の強制的な国内公開の効果をもつたときは、寄託された生物材料の試料の分譲は、当該国内法令に基づいて行うことができる。

13の2.7 国内要件の通知及び公表

  • (a) いずれの国内官庁も、国際事務局に次の国内法令の要件を通知することができる。
    • (i) 国内出願において13の2.3(a)(i)から(iii)までに掲げる事項に加え、通知書に明記した事項が寄託された生物材料への言及に含まれることを要求していること。
    • (ii) 13の2.3(a)に掲げる一又は二以上の事項の表示が出願時における国内出願に含まれること又は当該表示が優先日の後十六箇月よりも早い時で通知書に明記した時に届け出られることを要求していること。
  • (b) 各国内官庁は、国際事務局に対し、当該国内官庁における特許手続上生物材料の寄託がされると国内法令が認める寄託機関を通知し又は、国内法令が当該寄託について定めていない場合若しくは認めていない場合には、その事実を通知する。
  • (c) 国際事務局は、(a)の規定に従つて通知された要件及び(b)の規定に従つて通知された情報を速やかに公報に掲載する。

第十三規則の三 ヌクレオチド又はアミノ酸の配列リスト

13の3.1 国際調査機関における手続

  • (a) 国際調査機関は、国際出願がヌクレオチド又はアミノ酸の配列であって実施細則の規定に従つて配列リストに含まれることを要求されるものの開示を含む場合には、実施細則に定める基準を満たす配列リストが認められた形式、言語及び方法で既に入手可能である場合を除くほか、出願人に対し、国際調査のため、実施細則に定める基準を満たす配列リストを提出することを求めることができ、また、該当する場合には、国際調査機関に対して(c)に定める遅延提出手数料を指定した期間内に支払うよう求めることができる。
  • (b) [削除]
  • (c) 国際調査機関は、(a)の規定に基づく求めに応じた配列表の提出には、遅延提出手数料の支払を条件とすることができる。遅延提出手数料の額は国際調査機関が定めるものとし、その額は手数料表一に掲げる国際出願手数料の額(ただし国際出願の用紙が三十枚を超える場合の手数料を考慮に入れない)の二十五パーセントを超えてはならない。
  • (d) 国際調査機関は、出願人が要求された配列リストを(a)の規定に基づいて指定した期間内に提出せず、また、要求された遅延提出手数料を支払わない場合には、配列リストなしで有意義な調査を行うことができる限度においてのみ、国際出願の調査を行うことを要する。
  • (e) 出願時における国際出願に含まれていない配列リストは、(a)の規定に基づく求めに応じて又はその他の理由により提出されたか否かを問わず、国際出願の一部を構成しない。ただし、この規定は、出願人が配列リストに関して第三十四条(2)(b)の規定に基づき明細書を補正することを妨げるものではない。
  • (f) [削除]

13の3.2 国際予備審査機関における手続

 13の3.1の規定は、国際予備審査機関における手続について準用する。

13の3.3 指定官庁のための配列リスト

 指定官庁は、出願人に対し実施細則に定める基準を満たす配列リスト以外の配列リストを提出することを要求してはならない。

第十四規則 送付手数料

14.1 送付手数料

  • (a) 受理官庁は、出願人に対し、国際出願の受理、国際出願の国際事務局及び管轄国際調査機関への送付並びに受理官庁の資格において国際出願に関して行うべきその他のすべての任務の遂行に係る手数料(「送付手数料」)を支払うことを要求することができる。
  • (b) 送付手数料の額は、受理官庁が定める。
  • (c) 送付手数料は、国際出願の受理の日から一箇月以内に支払う。支払額は、当該受理の日に適用される額とする。

第十五規則 国際出願手数料

15.1 国際出願手数料

 各国際出願については、国際事務局のための手数料(「国際出願手数料」)を支払わなければならない。国際出願手数料は受理官庁が徴収する。

15.2 額 及び移転

  • (a) 国際出願手数料の額は、手数料表に掲げるとおりとする。
  • (b) 国際出願手数料は、受理官庁が定める一の通貨又は二以上の通貨( 以下この15.2において 「所定の通貨」 という。 )のうちの一の通貨で支払う。
  • (c) 所定の通貨がスイス・フランである場合には、受理官庁は、 96.2の規定に従つて 国際出願手数料をスイス・フランにより国際事務局に移転する 。
  • (d) 所定の通貨がスイス・フラン以外の通貨である場合において は、次の (i)又は(ii)に規定するとおりとする。
    • (i) 所定の通貨がスイス・フランに自由に交換することができるものであるときは、事務局長は、国際出願手数料の支払のための通貨として所定の通貨を定めている各受理官庁ごとに、総会が定めた指針により、所定の通貨による当該手数料の換算額を決定する。受理官庁は、96.2の規定に従つて所定の通貨による当該手数料の換算額を国際事務局に移転する
    • (ii) 所定の通貨がスイス・フランに自由に交換することができるものでないときは、受理官庁は、国際出願手数料を所定の通貨からスイス・フランに交換する責任を負うものとし、96.2の規定に従い、手数料表に掲げる額の当該手数料をスイス・フランにより国際事務局に移転する。また、受理官庁が希望する場合には、当該受理官庁は、国際出願手数料を所定の通貨からユーロ又は合衆国ドルに交換し、96.2の規定に従い、(i)に規定する総会が定めた指針により事務局長が決定する当該手数料の換算額をユーロ又は合衆国ドルにより国際事務局に移転することができる。

15.3 支払期間及び支払額

 国際出願手数料は国際出願の受理の日から一箇月以内に受理官庁に支払う。支払額は、当該受理の日に適用される額とする。

15.4 払戻し

 受理官庁は、次の場合には、国際出願手数料を出願人に払い戻す。

  • (i) 第十一条(1)の規定に基づく決定が否定的である場合
  • (ii) 国際事務局へ記録原本を送付する前に、国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされた場合
  • (iii) 国の安全に関する規定により、国際出願が国際出願として取り扱われない場合

第十六規則 調査手数料

16.1 手数料を要求する権利

  • (a) 各国際調査機関は、出願人に対し、国際調査の実施並びに条約及びこの規則によつて国際調査機関に与えられたその他のすべての任務の遂行に係る手数料(「調査手数料」)を支払うことを要求することができる。
  • (b) 調査手数料は、受理官庁が徴収する。調査手数料は、受理官庁が定める通貨(以下この16.1において「所定の通貨」 という。)で支払う。
  • (c) 所定の通貨が国際調査機関が調査手数料を決定するに当たり用いた通貨(以下この16.1において「決定通貨」という。)である場合には、受理官庁は、96.2の規定に従つて調査手数料を所定の通貨で当該国際調査機関に移転する。
  • (d) 所定の通貨が決定通貨以外の通貨である場合においては、次の(i)又は(ii)に規定すると おりとする。
    • (i) 所定の通貨が決定通貨に自由に交換することができるものであるときは、事務局長は、調査手数料の支払のための通貨として所定の通貨を定めている各受理官庁ごとに、総会が定めた指針により、所定の通貨による当該手数料の換算額を決定する。受理官庁は、96.2の規定に従つて 所定の通貨による当該手数料の換算額を国際調査機関に移転する。
    • (ii) 所定の通貨が決定通貨に自由に交換することができるものでないときは、受理官庁は、調査手数料を所定の通貨から決定通貨に交換する責任を負うものとし、96.2の規定に従い、国際調査機関が定める額の当該手数料を決定通貨により当該国際調査機関に移転する。
  • (e) 決定通貨以外の所定の通貨による調査手数料の支払に関し、国際調査機関が16.1(d)(i)の規定に基づき所定の通貨で現実に受領する額が、決定通貨に交換された場合において当該国際調査機関が決定した額より少ないときは、その差額は、国際事務局によつて当該国際調査機関に支払われるものとし、また、その現実に受領する額が多い場合には、その差額は、国際事務局に帰属する。
  • (f) (f)調査手数料の支払期間及び支払額については、国際出願手数料に関する15.3の規定を準用する。

16.2 払戻し

 受理官庁は、次の場合には、調査手数料を出願人に払い戻す。

  • (i) 第十一条(1)の規定に基づく決定が否定的である場合
  • (ii) 国際調査機関へ調査用写しを送付する前に、国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされた場合
  • (iii) 国の安全に関する規定により、国際出願が国際出願として取り扱われない場合

16.3 部分的な払戻し

 国際調査機関が国際調査を行うに当たり41.1の規定に従つて先の調査の結果を考慮する場合には、当該国際調査機関は、国際出願について支払われた調査手数料を第十六条(3)(b)に規定する取決めで定める範囲において及び条件に従つて払い戻す。

第十六規則の二 手数料の支払期間の延長

16の2.1 受理官庁による求め

  • (a) 受理官庁は、14.1(c)、15.3及び16.1(f)の規定に基づく支払時期までに手数料が当該受理官庁に支払われていないと認めた場合又は当該受理官庁に支払われた額が送付手数料、国際出願手数料及び調査手数料に不足すると認めた場合には、(d)の規定が適用される場合を除くほか、これらの手数料を賄うために必要な額及び、該当するときは、16の2.2の規定に基づく後払手数料を求めの日から一箇月以内に支払うよう出願人に求める。
  • (b) 削除
  • (c) 受理官庁は、(a)の規定に基づく求めを出願人に送付し、かつ、当該出願人が(a)に規定する期間内に支払うべき額(該当する場合には、16の2.2の規定に基づく後払手数料を含む。)を完全に支払わなかつた場合には、(e)の規定が適用される場合を除くほか、次の措置をとる。
    • (i) 第十四条(3)の規定に基づく宣言をすること。
    • (ii) 第二十九規則に定めるところにより手続をとること。
  • (d) 受理官庁が(a)の規定に基づく求めを送付する前に受領した支払は、14.1(c)、15. 3 、16.1(f)に規定する期間の満了前に受領したものとみなす。
  • (e) 受理官庁が第十四条(3)に規定する宣言を行う前に受領した支払は、(a)に規定する期間の満了前に受領したものとみなす。

16の2.2 後払手数料

  • (a) 受理官庁は、16の2.1(a)の規定に基づく求めに応じた手数料の支払には、後払手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。その額は、次のとおりとする。
    • (i) 求めにおいて特定された未払の手数料の額の五十パーセント
    • (ii) (i)の規定に基づき計算された額が送付手数料より少ない場合には、送付手数料に等しい額
  • (b) 後払手数料の額は手数料表一に掲げる国際出願手数料の額(ただし国際出願の用紙が三十枚を超える場合の手数料を考慮に入れない)の五十パーセントを超えてはならない。

第十七規則 優先権書類

17.1 先の国内出願又は国際出願の謄本を提出する義務

  • (a) 第八条の規定により先の国内出願又は国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該先の国内出願又は国際出願を受理した当局が認証したその出願の謄本(「優先権書類」)は、既に優先権書類が優先権を主張する国際出願とともに受理官庁に提出されている場合並びに(b)及び(bの2)の規定に従う場合を除くほか、優先日から十六箇月以内に出願人が国際事務局又は受理官庁に提出する。ただし、当該期間の満了後に国際事務局が受理した当該先の出願の写しは、その写しが国際出願の国際公開の日前に到達した場合には、当該期間の末日に国際事務局が受理したものとみなす。
  • (b) 優先権書類が受理官庁により発行される場合には、出願人は、優先権書類の提出に代えて、受理官庁に対し、優先権書類を、作成し及び国際事務局に送付するよう請求することができる。その請求は、優先日から十六箇月以内にするものとし、また、受理官庁は、手数料の支払を条件とすることができる。
  • (bの2) 国際事務局が優先権書類を実施細則に定めるところにより国際出願の国際公開の日前に電子図書館から入手可能である場合には、出願人は、優先権書類の提出に代えて、国際事務局に対し、国際公開の日前に、当該優先権書類を当該電子図書館から入手するよう請求する ことができる。
  • (c) (a)、(b)及び(bの2)の要件のいずれも満たされない場合には、指定官庁は、(d)の規定に従うことを条件として、優先権の主張を無視することができる。ただし、指定官庁は、事情に応じて相当の期間内に出願人に優先権書類を提出する機会を与えた後でなければ、優先権の主張を無視することはできない。
  • (d) 指定官庁は、(a)に規定する先の出願が国内官庁としての当該指定官庁に出願されている場合又は当該指定官庁が実施細則に定めるところにより優先権書類を電子図書館から入手可能な場合は、(c)の規定により優先権の主張を無視することはできない。

17.2 写しの入手の可能性

  • (a) 出願人が17.1(a) 、又は(b)又は(bの2) の要件を満たす場合には、国際事務局は、指定官庁の明示の要請に応じて、国際出願の国際公開の後速やかに、優先権書類の写しを当該指定官庁に提供する。指定官庁は、出願人に対しては優先権書類の写しの提出を要求しない。出願人は、翻訳文を第二十二条に規定する当該期間の満了前に指定官庁に提出することを要求されることはない。出願人が国際出願の国際公開前に指定官庁に対し第二十三条(2)の規定に基づく明示の請求を行った場合には、国際事務 局は、指定官庁の明示の要請に応じて、優先権書類の写しの受理後速やかに当該写しを当該指定官庁に提供する。
  • (b) 国際事務局は、国際出願の国際公開前に優先権書類の写しを公衆の利用に供しない。
  • (c) 国際事務局は、国際出願が第二十一条の規定に基づき公開された場合には、請求により、費用の支払を条件として、いかなる者に対しても優先権書類の写しを提供する。ただし、次の場合を除く。
    • (i) 当該国際出願が公開前に取り下げられた場合
    • (ii) 関連のある優先権の主張が公開前に取り下げられた場合又は26の2.2(b)の規定 に基づきなかつたものとみなされた場合

第十八規則 出願人

18.1 住所及び国籍

  • (a) 出願人が自ら居住者又は国民であると主張する締約国の居住者又は国民であるかどうかの問題は、(b)及び(c)の規定に従うことを条件として、当該締約国の国内法令によるものとし、受理官庁が決定する。
  • (b) いかなる場合にも、
    • (i) 締約国において現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有することは、当該締約国において住所を有するものとみなす。
    • (ii) 締約国の国内法令に従つて設立された法人は、当該締約国の国民とみなす。
  • (c) 国際出願が受理官庁としての国際事務局にされた場合には、国際事務局は、実施細則に定めるところにより、関係締約国の国内官庁又はその関係締約国のために行動する国内官庁に対し、(a)の問題について決定を行うよう要請する。国際事務局は、出願人にその要請について通知する。出願人は、当該国内官庁に対して直接論拠を提出する機会を有する。当該国内官庁は、その問題について速やかに決定を行う。

18.2 削除

18.3 二人以上の出願人

 二人以上の出願人がある場合において、出願人のうち少なくとも一人が第九条の規定に基づき国際出願をする資格を有するときは、国際出願をすることができる。

18.4 出願人についての国内法令に規定する要件に関する情報

  • (a)及び(b) 削除
  • (c) 国際事務局は、国内出願をする資格を有する者(発明者、発明者の承継人、発明の所有者その他の者)に関する各国の国内法令に関する情報を随時公表するものとし、指定国における国際出願の効果が、その指定国につき出願人として表示されている者がその指定国の国内法令に基づき国内出願をする資格を有する者であるかどうかによつて影響されることがある旨の警告を当該情報に付記する。

第十九規則 出願人

19.1 出願先

  • (a) 国際出願は、(b)の規定が適用される場合を除くほか、出願人の選択により、次のいずれかに対して行う。
    • (i) 出願人がその居住者である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁
    • (ii) 出願人がその国民である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁
    • (iii) 国際事務局(出願人がその居住者又は国民である締約国のいかんを問わない。)
  • (b) 締約国は、他の締約国又は政府間機関との間で、当該他の締約国の国内官庁又は政府間機関が自国の国内官庁に代わつて自国の居住者又は国民である出願人のための受理官庁として全部又は一部の目的のために行動することについて合意することができる。その合意にかかわらず、当該締約国の国内官庁は、第十五条(5)の規定の適用上、権限のある受理官庁とみなす。
  • (c) 総会は、第九条(2)の規定に基づいて行つた決定に関連して、その特定した国の居住者又は国民の出願のための受理官庁として行動する国内官庁又は政府間機関を選定する。その選定には、当該国内官庁又は政府間機関の事前の同意を必要とする。

19.2 二人以上の出願人

 二人以上の出願人がある場合において、

  • (i) 国際出願がされた国内官庁が出願人のうちの少なくとも一人がその居住者若しくは国民である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁であるときは、19.1に規定する要件は満たされたものとみなす。
  • (ii) 出願人のうちの少なくとも一人が締約国の居住者又は国民であるときは、国際出願は、19.1(a)(iii)の規定に基づき国際事務局に対して行うことができる。

19.3 受理官庁の任務を委任した事実の公表

  • (a) 19.1(b)に規定する合意は、他の締約国の国内官庁若しくは当該他の締約国のために行動する国内官庁又は政府間機関に受理官庁の任務を委任した締約国が国際事務局に速やかに通知する。
  • (b) 国際事務局は、(a)の通知の受領の後速やかにその通知を公報に掲載する。

19.4 受理官庁としての国際事務局への送付

  • (a) 国際出願が条約に基づいて受理官庁として行動する国内官庁にされた場合において、次のときは、その国際出願は、(b)の規定に従うことを条件として、19.1(a )(iii)の規定に基づく受理官庁としての国際事務局に代わつて当該国内官庁が受理したものとみなす。
    • (i) 当該国内官庁が19.1又は19.2の規定に従いその国際出願の受理を管轄しないとき。
    • (ii) その国際出願が、12.1(a)の規定に基づき当該国内官庁が認める言語ではない 又は明細書の配列リストの部分に記載されている言語依存フリーテキストが12.1(d)の規定に基づき当該国内官庁が認める言語ではないが、12.1(a)又は(d)の規定に基づき受理官庁としての国際事務局が認める言語で行われたとき。
    • (iiの2) (ⅱの2)国際出願の全部又は一部が、当該国内官庁が認めていない電子形式によつて行われたとき。
    • (iii) 当該国内官庁及び国際事務局が、(i)、(ii)及び(ⅱの2)の規定に従つて明記された理由以外の理由により、出願人の承諾を得て、この第十九規則に規定する手続を適用することを合意したとき。
  • (b) 国内官庁は、19.1(a)(iii)の規定に基づく受理官庁としての国際事務局に代わり、(a)の規定に従つて国際出願を受理する場合には、その国際出願を、国の安全に関する規定によつて送付することが妨げられない限り、国際事務局に速やかに送付する。当該国内官庁は、その送付について、第十四規則の規定に基づいて課する送付手数料に等しい手数料を課することができる。送付された国際出願は、当該国内官庁がその国際出願の受理の日に19.1(a)(iii)の規定に基づいて受理官庁としての国際事務局が受理したものとみなす。
  • (c) 14.1(c)、15.3及び16.1(f)の規定の適用上、(b)の規定に基づき国際出願が国際事務局に送付された場合には、国際出願の受理の日は、国際事務局が実際に受理した日とみなす。この(c)の規定の適用上、(b)の末文の規定は適用しない。
弁理士試験が扱う条約一覧